【2026年度版】36協定とは?社労士が5分で解説!

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「残業をしてもらっているけれど、36協定は本当に必要なのか」「名前は聞いたことがあるが、特別条項や労働者代表のことまではよく分からない」このような疑問を持つ事業主の方は少なくありません。
36協定は、従業員に時間外労働や休日労働をしてもらう場合に必要になる重要な手続です。残業代を払っているかどうかとは別に、法律上の手続として適切に締結・届出をしておく必要があります。
このコラムでは、36協定の基本的な仕組みから、特別条項とは何か、労働者代表は誰がなれるのか、注意点等をわかりやすく解説します。

5分で概要を知りたい方はこちらの動画をご覧ください⇩

36協定とは?

36協定とは、法定労働時間を超えて従業員に残業をしてもらう場合や、法定休日に働いてもらう場合に必要となる労使協定です。
労働基準法では、原則として労働時間は1日8時間・1週40時間以内とされており、これを超えて働かせるには、労働者側との書面による協定を締結し、あらかじめ所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。36協定を締結せずに残業を行わせた場合は罰則があり、知らなかったでは済まされません。実際に、「36協定を締結せず1時間の残業を行わせ送検された」ケースもあります。ですので、残業をさせる又は残業が生じる見込みがある場合は、36協定の締結・届出が必要になります。

36協定が必要になるケース

36協定が必要になるのは、従業員に次のような働き方をしてもらう場合です。

  • 1日8時間を超えて働いてもらう
  • 週40時間を超えて働いてもらう
  • 法定休日に働いてもらう

ここで注意したいのは、所定労働時間を超えたかどうかではなく、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えたかどうかで考える点です。
たとえば、所定労働時間が1日7時間の会社で8時間働いた場合、会社の所定時間は超えていても法定労働時間の範囲内であり、36協定は必要ありません。

法定労働時間について解説している画像

36協定を締結しないとどうなるのか

36協定が必要な場面で、協定を締結せず、または届出をしないまま時間外労働や休日労働をさせると、労働基準法違反となり、「6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられる可能性や、企業名が公表され社会的信用に悪影響を及ぼす恐れもあります。また、罰せられるのは企業だけではなく、実際に違法な時間外労働を命じた現場の管理者や人事担当者個人も対象となります。

また、よくある誤解として「残業代を払っているから大丈夫」という声があります。しかし、残業代の支払いと36協定の有無は別の問題です。残業代を支払っていても、必要な36協定がなければ、手続面で問題になります。

36協定の対象者と適用除外者

36協定は、基本的にすべての従業員が対象となります。正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイトなど、雇用形態に関わらず適用されます。ただし、以下のような立場の従業員は36協定の適用対象外となります。

●管理監督者
管理監督者とは、経営者に近い立場で、労働時間の管理を受けない役職者のことです。勤務時間に裁量があり、一般の労働者と異なる扱いとなります。

●農業・畜産業・水産業に従事する労働者
業務の性質上、労働時間の規制が適用されない職種にあたるため、36協定の締結は不要です。

●満18歳未満の労働者
労働基準法で時間外・休日労働が禁止されているため、36協定の対象外です。

●育児・介護を行う労働者
育児・介護休業法により、本人の同意なしに時間外・休日労働を命じることはできません。

残業時間の上限

36協定を結べば、無制限に残業を命じられるわけではありません。時間外労働には上限があります
原則として、時間外労働の上限は

  • 月45時間
  • 年360時間

です。したがって、36協定は「残業を自由に認める書類」ではなく、上限のある中で適正に運用するための手続です。

特別条項とは?

繁忙期など、どうしても通常の上限内では対応できない事情がある場合に備えて設けるのが、特別条項付き36協定です。これは、臨時的な特別の事情があるときに限り、原則の月45時間・年360時間を超えて時間外労働を行わせるための仕組みです。ただし、特別条項を付ければ何時間でも残業させられるわけではありません。休日労働を含み月100時間未満、かつ複数月平均80時間以内などの上限が設けられています。

特別条項について解説している画像

労働者代表とは?

36協定を締結する相手方は以下の通りです。

  • 労働者の過半数で組織する労働組合
  • 組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者

ここで重要なのが、労働者代表の選び方です。過半数代表者は、36協定締結のための代表を選ぶことを明確にしたうえで、投票・挙手などの民主的な方法で選出する必要があります。また、使用者による指名や、使用者の意向に基づく選出は認められません。 さらに、管理監督者は労働者代表になれません。

つまり、単に「社長がこの人でいいと決めた」「役職者だから任せた」では不十分です。
労働者代表の選出方法が適切でないと、36協定そのものの有効性に疑義が生じることがあります。実際に、「過半数代表者として認められず36協定が無効となり書類送検された」ケースもあるので、選任方法については注意が必要です。

よくあるミス

36協定では、次のようなミスがよく見られます。

1. 労働者代表の選び方が不適切

使用者が指名している、管理職を代表者にしている、選出方法の記録が曖昧、といったケースです。

2. 締結はしているが届出をしていない

36協定は締結するだけでは効力を生じません。所轄労働基準監督署に届出を行う必要があります。

3. 有効期間が切れている

有効期間は1年です。1回出せば終わりではなく、毎年締結し届出を行う必要があります。

4. 残業代の支払いと36協定を混同している

残業代を払っていれば36協定は不要、というわけではありません。36協定は、あくまで時間外・休日労働の法的な前提手続です。

社労士に相談するメリット

36協定は書式自体はそこまで難しく見えないかもしれません。
しかし実際には、

  • 上限設定が適切か
  • 特別条項が必要か
  • 労働者代表の選出方法に問題がないか

といった点まで確認する必要があります。そのため、36協定だけでなく、勤怠管理や残業運用、就業規則も含めて見直したい場合は、社会保険労務士に相談するのも有効です。

まとめ

36協定とは、法定労働時間を超える残業や法定休日労働を行う場合に、原則として必要になる重要な手続です。また、忙しい時期に備えて特別条項を設ける場合でも、上限規制や健康確保の考え方を踏まえて運用しなければなりません。さらに、36協定の有効性を考えるうえでは、労働者代表の選出が適切かどうかも非常に重要です。使用者の指名ではなく、民主的な方法で選ぶ必要があり、管理監督者は代表になれません。
もし、

  • 自社で36協定が必要か分からない
  • 特別条項の扱いがよく分からない
  • 労働者代表の選び方に不安がある
  • 残業の運用も含めて見直したい

という場合は、早めに確認しておくことをおすすめします。